軸馬力計(軸ねじれ、トルク、回転数計測)
脱 CO2 が謳われ、現在の重油を主燃料とするレシプロエンジン(内燃機関エンジン)から DF(Dual Fuel)エンジン/ガスエンジン/アンモニアを燃料とするエンジンの開発などが進められています。
同時に効率の良い燃焼を実現するための制御方法も求められており、エンジン出力(軸馬力)のリアルタイム情報が不可欠となってきます。
計測装置ではなくセンサーとしての「スリット板を用いた非接触計測方式」を用いた製品を提供いたします。
特長
- 計測対象軸のねじれ計測のための電装品の搭載が不要:
既存製品では、対象軸の表面もしくはフランジ構造体に埋め込まれた計測部に電源の供給および計測データの送受信が必要なため、接触式または非接触式の給電/通信設備が必要。 軸上に2組のスリット板を装着するだけなのでこれらの設備が不要。 - 軸の回転数を検出(計測)する機能の付加不要:
既存製品は、ねじれ量からトルクを算出、さらに馬力を算出する際に必要な回転数の情報を得るため、回転数検出機能が別途必要。 ねじれを計測するためのスリット板で回転数も計測することができるので不要。 - 調整に専門知識や技能は不要:
既存製品の据え付けや調整作業には、専用の機器やこれを扱う専門知識が必要。
機械的および光学系の精密な調整作業には、熟練の技能も必要。 スリット板およびセンサーの取付け作業には注意が必要であるが、特殊な技能は不要。 ゼロ調整は、無負荷状態の軸を任意の速度で回転させ「ゼロ設定」ボタンを押すだけ。 計測条件に合わせたパラメータ(ゲイン、軸の横弾性係数、出力信号のスケール、等)が設定された状態で納品。途中で使用条件が変わらない限り再調整は不要。(オプションでの調整用ツールを提供する準備あり。)
原理
当該軸に二組のスリット板が所定の間隔で取り付けられ、フォトインタラプタ(高速フォトスイッチ)を使って、このスリットの動作(回転)を電気パルス信号に変換します。2つのスリット板には所定の角度を高精度加工した扇形のスリットが配置されており、相対するスリットによる電気パルス信号の時間差を計測することで、相対位置を知ることができます。
回転する当該軸に負荷が加わることで「ねじれ」が生じますが、この「ねじれ」はスリットの「相対位置の変化」として現れます。ここで得られた「変化量(ゼロ負荷時の相対位置が基準)」から当該軸の「ねじれ角度」を知ることができ、ここから「軸トルク」を算出します。スリットによるパルス信号から軸の「回転速度」も求めることができるので、先の「軸トルク」をもとに「軸馬力」を算出することができます。得られた「回転速度」「軸トルク」「軸馬力」値を、アナログ電圧信号に変換して出力します。
構成品
名称 | 数量 | 解説 |
---|---|---|
スリット数 | 2組 | 軸の挙動を計測するためのスリット孔が設けられたディスク状の板で、スリット孔の数およびサイズは計測仕様に合わせて設計・調製されます。 |
センサユニット | 2組 | ディスク上のスリットの動き(回転)によって生じる透過/遮光のタイミングを電気パルス信号に変換し、それぞれのスリットの位相差計測のためのトリガー信号として使用されます。 |
主演算ユニット | 1台 | 回転数とねじれ量を計測して軸トルクと馬力を算出し、その結果はアナログ電圧信号に変換され出力します。 |
仕様
電源電圧 | DC24V±10%、0.8A |
---|---|
耐電圧 | AC1000V 1 min. |
絶縁抵抗 | 10 MΩ over (@DC500 V) |
使用環境 | 10 MΩ over 5~55°C、5~90%RH(結露なきこと) |
保存温度 | -5 ~ 60°C |
保護等級 | M/P unit:IP65 Sensor:IP40 |
出力信号 (スケールチェック変更可能) |
DC±10V × 3 Port (出力インピーダンス = 2 kΩ) ・回転数 ±1200【min-1】/±10V ・トルク ±100,000【N・m】/±10V ・馬力 ±10,000【kW】/±10V |
操作スイッチ | ゼロ負荷オフセット設定(ユニット内部に装備) |
計測精度 | ±1.0% 条件:750【min-1】, 10,000【kW】, センサー間隔 400【mm】 |
サンプリング/出力 | 最大 1600回/秒(1200 min-1 の時) 80回/1回転(4.5°x 80 = 360°) |
導入に際して
ここで紹介しましたセンサーは、レシプロエンジンに限定することなく、軸馬力(もしくはトルク)計として利用することが可能ですので、ご相談ください。
- 軸径は 100 mm ~ 150 mm(150 mmを超える場合は相談ください。)
- センサー取り付け間隔は 300 mm ~ 500 mm + 100 mm(取付けスペース)
- 価格について、設置条件で大きく異なるため個別に対応させて頂きます。
- 量産製品(定期的に複数生産する製品)に導入して頂けるような場合、標準品として廉価提供すことが可能となるケースもありますので、ご相談ください。