損傷調査 - 炭素鋼管の水素侵食とクリープ損傷
- 低合金鋼を高温高圧水蒸気の環境中で長時間使用すると、水蒸気中の水素が分離し、鉄鋼材料に侵入することがあります。これは水素侵食と呼ばれており、水素が侵入した場合、鋼中の炭素と反応してメタンガスの形成、ブリスターと呼ばれる空孔が形成されます。
- 参考事例として、材料選定ミス(CrMo鋼管を使用するところ炭素鋼管を使用した)で570℃の高温高圧に長時間使用(約15年)中に水素侵食を受けたブリスター(小さな膨れ)が発生した例です。これは材料選定ミスが原因とされた損傷ですが、ミクロ観察、材料分析等の詳細な調査で損傷原因が明らかになったものです。
- 損傷が発生した場合には、まず損傷材を詳細に調べ、正確な原因究明が重要であり、原因が明らかになれば対策も容易になるため、結果的にコストダウンが可能です。
配管エルボを長手方向に分断して内面観察の外観写真
配管エルボを長手方向に分断して内面観察の外観写真